明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
私は母から預かった財布を取り出し、帳場にいる女将さんへ差し出した。
「この前の分をお支払いに参りました。」
「はい、確かに。」
女将さんは手際よく受け取りながら、ちらりと桐島中尉の方を見やった。
そして、私にだけ聞こえるような小声で囁く。
「……雪乃さんと会うために、最近よく来ているのよ。」
「えっ……」
思わず手が止まる。
顔を上げると、女将さんは何事もなかったように笑顔で帳簿を閉じていた。
胸がどくん、と高鳴る。
桐島中尉は、ただ買い物に立ち寄っているのではなく――私に会うために。
その事実を信じていいのだろうか。
ちらりと視線を向けると、彼は帳場から少し離れたところで待っていて、こちらを穏やかに見守っていた。
目が合った瞬間、頬が熱くなる。
彼は何も言わず、ただ静かに微笑むだけ。
――もし本当に、私のために。
そう思っただけで、胸の奥が甘く切なく震えた。
「この前の分をお支払いに参りました。」
「はい、確かに。」
女将さんは手際よく受け取りながら、ちらりと桐島中尉の方を見やった。
そして、私にだけ聞こえるような小声で囁く。
「……雪乃さんと会うために、最近よく来ているのよ。」
「えっ……」
思わず手が止まる。
顔を上げると、女将さんは何事もなかったように笑顔で帳簿を閉じていた。
胸がどくん、と高鳴る。
桐島中尉は、ただ買い物に立ち寄っているのではなく――私に会うために。
その事実を信じていいのだろうか。
ちらりと視線を向けると、彼は帳場から少し離れたところで待っていて、こちらを穏やかに見守っていた。
目が合った瞬間、頬が熱くなる。
彼は何も言わず、ただ静かに微笑むだけ。
――もし本当に、私のために。
そう思っただけで、胸の奥が甘く切なく震えた。