明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「普段は……どんな生活をされているのですか?」

私はアイスクリームを口に運びながら、思い切って尋ねた。

桐島中尉は少し考え込むように視線を落とし、匙を回した。

「私は軍の宿舎で暮らしています。朝は訓練、昼は書類や指揮の仕事。あとは……兵たちの面倒を見ることくらいですね。」

「兵の方々の?」

「ええ。彼らは年若い者も多いので。時には兄のように、父のように接してやらねばならないのです。」

その言葉に、胸の奥が温かくなった。

厳しい軍人ではなく、家族のように部下を思う姿が浮かんでくる。

「雪乃さんは?」

今度は彼の方から問い返され、私は慌てて匙を握り直した。

「私は……女学校を出てからは、家で母の手伝いをしています。お茶やお花の稽古も少し。特別なことは何も……」

「特別ではなくとも、立派なことです。」

彼は真っ直ぐな眼差しでそう告げた。
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