明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
すると、お店の入り口で小さな子供が足を滑らせ、畳に倒れ込んだ。

「うわああん!」

甲高い泣き声が響き、場の空気が凍りつく。

次の瞬間、軍服姿の桐島様が素早く駆け寄り、子供を抱き上げていた。

「大丈夫か?」

その声は驚くほど優しく、まるで父親が子を気遣うようだった。

子供は涙を溜めたまま、ぐすぐすと頷く。

桐島様は安心したように微笑み、そっと地面に降ろすと、小さく手を振った。

「気をつけるんだよ。」

泣き顔の子供が「うん」と言って走り去っていくのを、周りの客もほっと見送った。

私はただ、その光景を呆然と見つめていた。

――軍人なのに、子供にこんなにも優しいなんて。

厳しく、冷たく見える存在だと思っていたのに。

不思議と胸が熱くなり、目が離せなかった。
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