明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
ふと視線を感じて顔を上げると、桐島様と目が合った。

「子供はよく転ぶから、危ないですね。」

柔らかな声音に、思わず心臓が跳ねる。

「お子さんが……好きなんですか?」

勇気を出して尋ねると、桐島様は小さく頷いた。

「ええ。見ていて飽きないですからね。」

軍人なのに、意外なほど温かな雰囲気をまとっている。

その優しさが、胸の奥をじんわりと温めていくようだった。

「……お名前は?」

突然問いかけられて、ドキッとする。

「雪乃……と言います。」

「雪乃さん、か。いい名前だ。」

低く落ち着いた声が、まるで大切に抱きしめるように私の名を呼んだ。

頬が熱くなる。こんなに誰かに名前を呼ばれるだけで心が揺れるなんて――。

この瞬間から、もう後戻りはできないと感じていた。
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