明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「これで……俺たち、もう恋人同士ですよ。」

言葉の意味を理解した途端、全身が震える。

夢のような響きに、涙がこみ上げそうだった。

――桐島中尉。

この人は、私を本気で選んでくれた。

帽子の影に隠された世界で、私たちは人目を忍ぶように見つめ合った。

その眼差しが、何よりも確かな答えだった。

私たちは人目を避けるように、手を繋いだまま並んで歩いた。

軍人というだけで視線を向けてくる人もいる。

けれどその手の温もりがある限り、心は不思議と落ち着いていた。

「……あの、やっぱり軍人さんって、人気なんですね。」

横目で人々の様子を見ながら、思わず口にしてしまう。

すると桐島中尉がふっと笑い、私を真っ直ぐに見つめた。

「でも俺は、雪乃しか見えてないよ。」

「――っ!」

名前を、呼び捨てに……?

その衝撃に、顔から火が出そうになった。

「おい、雪乃。照れ過ぎだって。」
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