明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
三日後。

待ち合わせの座敷に入るなり、志郎さんは畳に手をつき、深々と頭を下げた。

「……すまなかった。」

「えっ……?」

思わぬ姿に、私は慌てて駆け寄った。

やがて彼は顔を上げ、真剣な眼差しで私を見つめる。

「いくら恋い慕っているとはいえ、嫁入り前のご令嬢に、あんなことを……」

その言葉に、胸が熱くなる。

思い出した途端、頬がかぁっと赤く染まった。

「これからは……結婚するまで我慢する。」

「結婚……するまで?」

思わず上目遣いで問い返すと、志郎さんは迷いなく頷いた。

「ああ、自重する。君を軽んじているわけじゃない。」

志郎さんがごくんと喉を鳴らした。

「私に……触れてくれないのですか?」

思い切って問いかけながら、そっと彼の胸に身を預ける。
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