明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「雪乃……それ以上は……」

彼の声は強がっていても、体はがちがちに固まっていた。

私は彼の軍服の胸元に顔を埋め、小さく囁いた。

「私、この前から夢を見るんです。」

「夢……?」

戸惑いに眉を寄せる志郎さん。

「志郎さんに……抱かれる夢。」

その一言に、彼の腕がぴくりと震えた。

すぐに私を突き放すのかと思った。

けれど次の瞬間、熱に駆られたように唇が重ねられた。

「ん……」

甘く深い口づけに、胸が熱くなる。

唇が離れ、彼は低く囁いた。

「……それは、甘美な夢だ。」

その眼差しには、理性と欲望の狭間で揺れる苦しさと、どうしようもない愛しさが滲んでいた。

私はただ彼に抱きつき、もう夢ではなく現実にしてほしいと、心から願っていた。
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