明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「私が……初めてじゃなかったんですね。」

絞り出すように言った瞬間、視界が滲み、涙が頬を伝った。

「……すまない。」

志郎さんの低い声が耳に届く。

「信じていたのに!」

こらえきれず、私は彼の胸をぽかぽかと叩いた。

「ううっ……」

涙混じりに声が漏れる。

何度叩いても、彼の過去が消えるわけじゃないのに。

「気が済むまで叩いてくれ。」

志郎さんは微動だにせず、その身を差し出すように受け止めていた。

――どうして。

そんなに誠実に向き合われると、余計に苦しい。

「……雪乃。」

やがて彼の腕が、そっと私を抱き寄せた。

「でもわかってくれ。今も、これからも……俺が愛するのは、雪乃だけだ。」

その声は震えていて、それでも真剣で。

胸に落ちる言葉のひとつひとつが、痛みと共に私を満たしていった。

私は彼の軍服に顔を埋め、涙を拭うこともできず、ただその胸にすがるしかなかった。
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