明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
ある日、志郎さんはいつもの茶屋ではなく、公園へと私を連れて行った。

「……あの、人目に付く場所で会ってもいいんですか。」

思わず声を潜める。

公園には子どもたちの笑い声が響き、家族連れや老人たちが思い思いに時を過ごしていた。

「たまにはいいでしょう。」

志郎さんは穏やかに答え、私の肩を軽く抱いた。

少し歩くと、境内の奥に一本の大木が立っていた。

幹の途中で枝が二つに分かれ、互いに寄り添うように空へと伸びている。

「……まるで、支え合って生きているみたい。」

思わず口にすると、志郎さんは私を見下ろして微笑んだ。

「そうだな。片方が折れたら、もう片方も倒れてしまうだろう。」

彼の言葉が、胸に深く響く。

自分と志郎さんも、きっとそうなのだ。

お互いを支え合わなければ、ここまで来られなかった。

「雪乃。」

名を呼ばれて振り向くと、彼の眼差しがまっすぐに私を射抜いた。

その視線の強さに、胸が高鳴り、思わず彼の袖を掴んでしまった。

――ずっと、この人と並んで生きていきたい。
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