明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「雪乃。」

志郎さんは大木を仰ぎながら、静かに言葉を紡いだ。

「俺たちも、この木のように……支え合って生きて行かないか。」

その声に、思わず彼の顔を見上げる。

真剣な眼差しが、まっすぐに私を射抜いていた。

「連理の枝のように、比翼の鳥のように――」

息を呑んだ。

それは、夫婦の契りを象徴する言葉。

まさか、私に向かってその話をしてくれるなんて。

胸が熱くなり、何も言えずに見つめ返す。

すると志郎さんは、ゆっくりと軍服のポケットに手を入れた。

「これは……」

差し出されたのは、小さな黒い箱。

「西洋では、男性が結婚を申し入れる時に、女性に指輪を贈るそうだ。」

志郎さんが静かに言った。

「……指輪を?」

問い返す間もなく、彼は私の目の前で片膝を着いた。

「えっ……志郎さん!?」

驚きに息を呑む。
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