明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
周囲の人々がこちらを振り向き、ざわめきが広がった。

「止めてください……男の人が片膝を着くなんて……」

恥ずかしさに顔が真っ赤になる。

けれど志郎さんは、まっすぐな眼差しで私を見上げた。

「今だけは……許されるんだよ。」

その瞳の真剣さに、胸が高鳴る。

彼の手の中、小さな箱が開かれ、光を受けて指輪がきらめいた。

「篠宮雪乃さん。」

その声は、広場に響き渡るほどに力強かった。

「俺と……結婚してください。」

人々の視線も、時代のしきたりも、何もかもを超えて。

彼はただ、私に誓ってくれていた。

私は息を詰め、その瞬間、世界が止まったように感じた。

「返事は? 雪乃。」

志郎さんの問いかけに、胸が熱くなり、視界が涙でにじんだ。

「……はい。お願いします。」

声は震えていたけれど、心には一片の迷いもなかった。
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