明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
その瞬間、志郎さんは立ち上がり、力強く私を抱きしめた。

「ありがとう、雪乃。」

耳元に響く声が、私の全身を温めていく。

人々のざわめきも、視線も、何もかも忘れてしまった。

ただ、彼の腕の中にいることが、すべてだった。

――私たちは決して、人に言われたから結ばれるのではない。

親の決めた政略でも、周囲の思惑でもない。

自分たちの心が選び、自分たちの意志で掴んだ恋。

この瞬間、それが確かになったのだ。

「志郎さん……」

涙で濡れた頬を撫でられながら、私は彼を見上げる。

その眼差しには未来への確かな光が宿っていた。

もう誰にも、この恋を否定させはしない。
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