明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「私に……お見合いの話が来てるんです。」

その言葉に、志郎さんは動きを止めた。

「……お見合い、だと?」

驚きに目を見開き、唖然とした表情を浮かべる。

「一度会ってみなさいって……相手の方は、私を気に入って下さっているって。」

震える声で告げると、自分の胸が締めつけられるように痛んだ。

志郎さんはしばらく言葉を失い、ただ私を見つめていた。

その瞳の奥に、信じがたいものを聞かされた動揺と、奥底から煮え立つ怒りが見え隠れする。

「それで?」

志郎さんの声が鋭く響いた。

「……断れませんでした。」

唇を震わせて答えると、彼は布団を跳ね飛ばすように立ち上がり、机の上に置いてあった湯呑みを掴んだ。

ごくごくと一気にお茶を飲み干し、強く息を吐く。

「受けるのか……その見合いを。」

私は慌てて起き上がった。

「家のためなんです。」
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