明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「ねえ、雪乃さん。二人は若いし、熱くなるのは分かるのだけど……」

「す、すみません……」

思わず背筋を正す。

自分でも顔が真っ赤になっているのが分かった。

――あまりにも激しかった。

今日の逢瀬は、とても。

女将さんは苦笑しながらも、そっと茶を淹れてくれた。

その優しさがかえって胸に沁みて、私は目を伏せた。

「でもね、雪乃さん。」

茶を差し出しながら、女将さんは私をじっと見つめた。

「そろそろ冷静になるころなのでは?」

「えっ……」

胸の奥がざわつく。

「その様子だと、聞いていないのね。」

女将さんの視線が、眠る志郎さんへと移る。

「桐島中尉……縁談が上がっているのよ。」

「……え……?」

耳を疑った。

「お相手は、とある名家のご令嬢だそうよ。」
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