この恋を運命にするために
私は本気で信士さんのことが知られることが嬉しかったけれど、信士さんは困ったように頭を掻いていた。
「参ったな……今まで出会ったこなかったタイプだ」
「え、私が初めてってこと?」
「そんな露骨に嬉しそうにされても困るんだけど。別に褒めてないしね」
「やっぱり毒舌なところも好き」
「…………」
やっぱりデートに誘ったのは正解だった。
だって信士さんの新しい一面がたくさん知られるんだもの。
「……調子が狂うな」
*
高級中華を堪能した私たちは、中華街の中にある水族館に訪れていた。
「うわー! かわいい!」
水族館に来るなんて久しぶりなので、ついはしゃいでしまう。
「おおっ、この子すっごく綺麗。熱帯魚ってカラフルでかわいいですよね〜」
「…………」
信士さんの視線が水槽ではなく私に向けられていることに気づき、ハッとする。
「……ごめんなさい、一人ではしゃいじゃって」
「いや、かわいいなーと思って」
「えっ!?」
「子どもみたいで」
「うぐっ」
ニヤッとからかうように笑う信士さんも好き!
イジワルされても簡単に喜んでしまう私ってチョロすぎなんじゃないだろうか。
「でも俺も魚は好きだよ。家で何匹か飼ってるし」
「そうなんですか!?」
「うん、結構大きめの水槽で。魚って見てると癒されるんだよね」