この恋を運命にするために


 同い年だとは思ってなかったからものすごくびっくりした……!
 若いとは思ってたけど警部さんだし、てっきり二十代後半だと思ってた。


「今日一番びっくりしたかも!」
「……そんなにおじさんっぽい?」
「あははっ! 気にしてる〜!!」
「うるさいな。蘭さんこそ絶対年下だと思ってた」
「子どもっぽいってこと!?」
「わかってるじゃん」


 やっぱりイジワルだけど、こんなやり取りも楽しいと思っちゃってる自分がいる。
 ちょっと拗ねてる信士さん、かわいいし。


「同い年なら信士くんって呼ぼうかな」
「タメってわかった途端遠慮ないね」
「ダメ?」
「じゃあ俺も蘭ちゃんって呼ぼうかな」
「……っ!」


 不意打ちのちゃん付けはものすごく心臓にクる――。


「…………」
「――蘭ちゃんってすぐ顔に出るよね」
「〜〜っ!?」
「はははっ」


 ものすごくおかしそうに声をあげて笑う彼の無邪気な笑顔を見て、今日一番好きだって思った。

 やっぱり私、この人のことが大好きみたい。
 勢いだけの恋じゃなくて、この人とずっと一緒にいたいと思う。


「――もしもし」


 電話を取った信士くんの表情が一瞬にして変わる。
 刑事の顔になったのを見て、これが仕事の電話なのだとすぐに察した。


「わかった。すぐ向かう」


 電話を切ると、刑事の顔つきのまま私にいった。


「ごめん、仕事だ」


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