この恋を運命にするために
四輪目
「…………はぁ」
無意識に漏れ出る溜息は何度目だろう。
昨夜見た光景が頭から離れない。
そのせいで朝からイライラしているし、結局蘭ちゃんに連絡もしていない。
つーか連絡なんかしない方がいいのか……?
他に彼氏がいるなら迷惑なだけだな。
「……はぁ」
「ちょっと信士さん! どーしちゃったんですか!?」
「何が?」
「何が? じゃないッスよ! さっきから溜息ばっかりついて」
「……何でもない」
「何でもなくないでしょ!」
「何でもないって言ってるだろ」
ギャーギャーうるさい栗田を置いて席を立つ。
「あーっ、どこいくんすか」
「煙草」
喫煙室で煙草に一本火をつけ、煙を吹かす。
「…………」
尻ポケットからスマホを取り出し、メッセージ画面を開く。
もちろん彼女からの連絡なんてきていない。
正直一度くらい連絡してくれるんじゃないかという自惚れがあった。
しかし結果はナシ。その上昨日見たアレ。
「おもしろくねー……」
無性にイライラする理由は何となくわかっている。
だが認めたくない。
認めたところでどうにかなるものでもないし――。
「あれ、信士じゃん」
「野垣か、久しぶり」
「久しぶりだな」
こいつは同期の野垣で今は捜一にいる。
「お前いつこっちに来るんだよ?」
「さあ? もしかしたら行かないかもな」
「んなわけねーだろ。一年で警部に昇進したエリート様がよ」