この恋を運命にするために


 前に他人のことを信用できないと言っていたし、距離は縮まっている気がするけど本当のところはどう思っているのかわからない。


「だから、今日はちゃんと信士くんの気持ちを確かめようと思うの」


 ウジウジ悩むのは私の性に合わない。
 気になったら直接聞きたい。


「蘭ちゃんはすごいよね。私にはできないなぁ」
「いや、こういう性分なだけよ」
「頑張ってね。応援してる」
「ありがとう」


 菜花ちゃんに応援してもらえると、頑張れる。

 その時、背後から誰かに見られているような視線を感じた。
 振り返ってみたけれど、誰もいない。


「……」
「どうしたの?」
「……あ、なんか誰かに見られてるような気がして。最近多いのよね」
「えっ!? 大丈夫なの?」
「いや、気のせいかもしれないと思って」


 最近何となく誰かの視線を感じる瞬間が多々ある。
 だけど誰もいないし特に何かされたわけでもないし、気のせいかなと思って気にしないようにしていた。


「どうして先に言わないの! 信士さんには相談してない?」
「してない。忙しいと思って必要最低限の連絡以外はしないようにしてるの」
「これは必要な相談でしょ!」
「私の気のせいというか、自意識過剰かもしれないと思って……」
「ダメよ、蘭ちゃん。何かあってからじゃ遅いんだから」


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