この恋を運命にするために
*
「……お先でした」
いつもの何倍も身体中を綺麗にして、バスローブを着て出て行くと信士くんは何やら電話中のようだった。
お仕事の電話かもしれないから、なるべく音を立てないようにそろそろと移動してソファに腰かける。
「じゃあ、そういうことで。近いうちによろしく」
どうやら電話は終わったらしい。
私に気づくと「何か飲む?」と聞いてくれた。
歯を磨いた後だったのでお水をお願いすると、グラスにミネラルウォーターを注いでくれる。
「俺も入ってくるからベッドで待ってて」
ポンと頭を撫でてからバスルームに行ってしまった。
やっぱり信士くんってば甘すぎる。
それなりに恋愛してきたつもりだけど、こんなにドキドキしてるのは初めてかもしれない。
「もーー……私ばっかりドキドキしてる」
ミネラルウォーターを一気に飲み干す。なのに何となく喉の渇きが潤わない。
多分それだけ緊張しているせいだ。
「先にベッドいこ」
シャワールームから聞こえる水の音を聞いている方がソワソワするので、意を決してベッドルームに入ることにした。
ガチャリとドアを開けてみて、ふわりと漂う花の香りが鼻腔をくすぐる。
「えっ、うそ」
キングサイズのベッドの近くにピンクのランの鉢植えが置かれていた。
ギフトラッピングされており、真っ赤なリボンが飾られている。
「きれい……」