この恋を運命にするために
一目見てわかる、かなり上等な胡蝶蘭だ。
コンパクトなミディーサイズの胡蝶蘭が数本植えられており、小さいながらも華やかな存在感を放っている。
リップと呼ばれる中央部分が赤と淡いピンク色とのコントラストが美しい。
そしてピンクの胡蝶蘭の花言葉は、「あなたを愛する」。
この花は、信士くんからの想いと受け取ってもいいのかな――?
「蘭ちゃん」
「っ、信士くん」
「気に入ってくれた?」
バスローブ姿で濡れている髪を拭きながら現れた信士くんは、あまりに色気がありすぎて目に毒だ。
「普通は花束になると思うんだけど、蘭ちゃんはこっちの方がいいかなって」
「うん、嬉しい……ありがとう」
「花のプロに花を贈るって緊張したけどね」
「すごく嬉しいわ! 意外とお花をもらうってないことだから」
毎日のように花をいけているし、誰かのためにいけてプレゼントすることもある。
でもなかなか自分が花をプレゼントされることはない上に、ランの花を選んでくれたことがとても嬉しい。
「蘭ちゃん、座って」
信士くんに言われ、ベッドの上に腰かける。
「さっき父親と電話して、近々会わせたい人がいるって話しておいた」
「さっきのお父様だったの?」
「そう。見合い相手は探さなくていいって釘刺しておきたかったから」
「わ、私大丈夫かしら!?」
お見合いと聞いて急に焦る。
信士くんはあの満咲家の長男で、つまりは跡取りということだ。
旧華族の末裔というし、信士くんのお父様は良家のご令嬢と結婚させたかったのかもしれない。