この恋を運命にするために
こういう時、菜花ちゃんがいてくれたら愚痴を聞いてもらえるのに。
義理の姉の菜花ちゃんは兄さんとフランスに行ってしまった。
菜花ちゃんと長電話していると何故か兄さんが途中で邪魔してくるし。
とにかく父さんに何と言われようが、私は信士さんのことを諦めるつもりはない。
「まずは展覧会の成功ね! 信士さん、来てくれるかなぁ」
私は展覧会の招待チケットを信士さんに渡していた。
信士さんだけでは角が立つので、捜査に協力してくれた警察官全員に展覧会の案内を配った。
招待チケットを渡したのは信士さんだけだけど。
きっと仕事が忙しいだろうし、来てくれない可能性が高いと思うけど――でももし来てくれたら、とびきりの花を楽しんでいってもらいたい。
私は更に気合いを入れ、最終調整に取り組んだ。
例の華道家は破門になったため、一人分の作品が足らなくなってしまったので急遽もう一作品生けることになった。
調整に調整を重ね、ギリギリまでレイアウトにこだわり、ようやく完成した。
無事に展覧会を迎えられた時は、ほっと安堵していた。
「こんにちは」
正直前日までバタバタしていて招待状のことをすっかり忘れていたので、信士さんが現れた時はとても驚いた。
「信士さん! 来てくださったのですね」