第零作★血文字の告白★
 序章 ― 発見

 その廃屋を初めて目にしたのは、夕暮れ時だった。山あいの道を取材のために車で走っていたとき、ふと視界の端に黒ずんだ二階建ての木造家屋が映った。壁は半ば崩れ落ち、窓ガラスはすべて割れている。けれど、なぜかそこから目を逸らせなかった。

 車を止め、草をかき分けて近づくと、玄関は錆びた南京錠で固く閉ざされていた。しかし板壁の一部が破れており、中に入るのは容易だった。

 内部は長年放置されてきたらしく、湿った畳と埃の臭いが鼻を突く。薄暗い廊下を抜けると、広間に出た。そこで私は息をのんだ。

 壁一面に、赤黒い文字が乱雑に走っていた。
 乾ききった血で描かれた文字列――。

 歪んだ筆跡で、繰り返し書かれていた言葉はひとつだけ。

 「ゆるして」

 その場に立ち尽くし、私は背筋を凍らせた。
 血は古いものに見える。だが、なぜかまだ生々しい気配が漂っていた。

 ――誰が、誰に向けて懺悔したのか。
 そして、なぜこんな山奥の廃屋で。

 次の瞬間、背後の床板が小さく軋んだ。
 振り返ったが、そこには誰もいない。

 ただ、開け放たれた窓から、冷たい風が吹き込んでいた。


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 ここから先は「主人公が事件に巻き込まれるきっかけ」として、

 血文字を警察に知らせるが、なぜか記録が残されない

 廃屋の持ち主を調べると不可解な過去が浮かび上がる

 主人公の手元に「血文字の写し」が匿名で送られてくる


 などに繋げられます。
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