皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
国王の言葉が広間を重く覆うその時――ルーファス公爵が一歩前に進み、私の前に立った。

「陛下。」

その声は落ち着いていたが、揺るぎない強さを帯びていた。

「エリナはもう、私の娘です。」

広間にざわめきが走る。

「公爵閣下の……娘?」

公爵は私を振り返り、誇らしげに微笑んだ。

「彼女は公爵令嬢としての教育を受け、礼儀も作法も身につけつつあります。そして何より……皇太子妃として相応しい心を持った女性です。」

胸が熱くなり、私は唇を震わせながら頭を下げた。

「公爵閣下……」

すると今度は、セドが玉座に向かって堂々と一歩を踏み出した。

真剣な瞳で国王を見据え、迷いなく言い放つ。

「父上。私の結婚相手は、彼女しかいません。」

広間が静まり返る。

その宣言には、一切のためらいも、妥協もなかった。

セドは私の手を取り、力強く握った。

「エリナこそが、私の妻であり、未来の王妃です。」

国王の表情がわずかに揺れ、広間に重々しい沈黙が落ちた――。
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