皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
その言葉に胸が震えた。

扉が開かれ、重厚な音楽が流れ出す。

一歩踏み出すごとに、無数の視線が突き刺さる。

「……あれは。」

「公爵令嬢になったという噂の娘か。」

「いや、あの侍女だった……?」

ざわめきが広がる中、私は背筋を伸ばし、堂々と歩いた。

セドの隣で、ただ前を見据えて。

――そう、私はもう侍女ではない。

セドリック皇太子の隣に立つ、未来の皇太子妃なのだ。

会場の中央に進み出た瞬間、音楽が高まり、無数の視線が一層強く注がれた。

胸の奥に、確かな自覚が芽生えていく――。

会場中央に立った私とセドに、ざわめきが渦を巻く。

「やはり、あれは……」

「侍女だったはずの娘だろう?」

「どうして皇太子殿下の隣に……」

疑念と驚きが交錯し、場内の視線が一斉に私を突き刺した。

足がすくみそうになる。

だが、その時――。
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