皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました

第2章 狩りと初めての抱擁

それからというもの、セドはどこか悲しげで、窓の外ばかりを見つめるようになった。

本当は狩りが好きで、外に出ることを好まれる方なのに……。

気づけばずっと城にこもり、沈んだ表情を浮かべている。

見ていられなかった。

せめて少しでも気晴らしをしてほしい。

そう思った私は、ある日勇気を振り絞って声をかけた。

「殿下、狩りに行きましょう!」

執務机に向かっていたセドが、きょとんとした顔で私を見た。

「行きましょうって……エリナが一緒に行けるはずないだろう。」

当然のように言われ、胸が熱くなる。

私はぐっと拳を握りしめ、どん、と自分の胸を叩いた。

「体は鍛えています!」

思わず大きな声になってしまった。

けれど、それが嘘でないことは自分が一番よく知っている。

セドのお傍にありたい一心で、剣も馬も必死に学んできたのだから。

驚いたように目を見開く殿下。

その瞳に、一瞬だけ光が差したのを、私は見逃さなかった。
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