皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
セドに続いて、私も馬に跨った。鞍の感触が体に馴染み、緊張よりも高揚が勝っていた。

「身のこなしがうまいな。」

横目に私を見ながら、セドが小さく感嘆する。

「馬術で鍛えています。」

胸を張って答えると、彼は驚いたように眉を上げ、すぐに柔らかく笑った。

やがて彼は手綱を軽く操り、私の隣に並んでくる。

「狩りはできるのか。」

「この日のために、ずっと訓練してきました。」

そう言い切った私の言葉に、セドの瞳が輝きを取り戻した。

その瞬間、彼の口元に――久しぶりの笑みが浮かんだ。

「殿下……」思わず声が洩れる。

「今日は楽しくなりそうだ。」

その笑顔は、あまりにも眩しく、胸が熱くなる。

ずっと沈んでいた彼が、ようやく笑ってくれた。

私はその表情を一生忘れまいと、心に深く刻んだ。
< 18 / 151 >

この作品をシェア

pagetop