皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
やがて木立の向こうに獲物の姿が見えた。

私は慣れない手つきで弓を構え、矢を放つ。

だが、何度狙っても獲物に当たることはなく、矢は空を切るばかりだった。

「あーあ、動くからまったく仕留められません。」

悔しげに漏らすと、隣で馬を駆るセドが小さく笑った。

「それが狩りの醍醐味だよ。」

彼は弓を引き絞ると、しなやかな動きで矢を放つ。

次の瞬間、動いていた獲物は見事に仕留められていた。

「お見事!」

思わず声を上げると、セドは少し照れたように目を細める。

「エリナも時期にできるようになる。」

その優しい一言が胸に響いた。だがその直後――

「あっ、痛い……」

手に鋭い痛みが走り、思わず弓を落とす。

見ると、慣れない弓を握り続けたせいで皮膚が擦れ、赤く血がにじんでいた。

「エリナ!」

セドの声が鋭く変わる。次の瞬間、彼の大きな手が私の手を取っていた。
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