皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「血が出ているじゃないか。一旦、馬を降りろ。」

セドの鋭い声に、私は慌てて手綱を引き、馬から降り立った。

すぐにセドも馬から飛び降り、まるで何よりも大事なものを守るかのように駆け寄ってくる。

「大丈夫です、これくらい……平気です。」

笑顔を作って見せたけれど、手のひらに走る痛みは隠しきれなかった。

次の瞬間、セドが私の手を包み込む。

大きくて力強い掌――けれど驚くほど熱い。その体温に心臓が跳ね上がる。

「そんなわけないだろう!」

思わず怒鳴るように言ってから、彼は少し声を落とす。

「……早く手を出すんだ。」

その真剣な眼差しに逆らうことなどできなかった。

私は素直に傷ついた手を差し出した。

「エリナの美しい手が……」

セドは低く呟きながら、自分のポケットに手を入れた。

取り出したのは、白地に王家の紋章が刺繍された上質なハンカチ。
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