皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「いけません、汚れます。」

慌てて制そうとしたが、セドは一瞥して微笑む。

「ハンカチなんて腐るほどある。」

そのまま彼は布を裂き、器用に私の傷口へと巻きつけていく。

優しい力加減で指先を包まれるたび、胸が熱くなった。

王家の紋章が刻まれた布が、私の手を守るように巻かれている――それだけで、涙が出そうになる。

「これで少しは痛みも減るだろう。」

真剣な眼差しで告げられ、私はかすかに頷いた。

「ありがとうございます……殿下。」

胸の奥からこみ上げる想いを抑えきれず、私はそっと手を胸に当てた。

ドキドキと鼓動が響き、顔が熱を帯びる。

まさか――初恋の人に、こんなふうに手当てをしてもらえるなんて。

夢のようで、信じられなかった。
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