皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました

第3章 初恋の告白

しばらくして開かれた宮廷会議で、セドの新しい婚約相手が決まったという報が広まった。

「今回も隣国の姫君だ。」

重臣たちが声を弾ませる。

「これで我が国も、諸国との結びつきがさらに強くなる。」

喜々とした声に満ちる広間。その空気が、なぜか胸を冷たく締めつけた。

会議の場に控えていた私は、隣に立つアルキメデスに小声で尋ねた。

「今回は……どんな方なの?」

アルキメデスは肩をすくめるようにして答える。

「北国の姫君だってさ。何でも……たいそうな美人らしいよ。」

その一言が胸に突き刺さる。

美人。高貴な血筋。誰からも称賛されるような存在。

――そうでなければ、皇太子の妃にはなれない。

分かっていたことのはずなのに、心に深い傷が刻まれる。

私のような侍女は、決してその輪の中に入れない。

(そう……皇太子殿下の相手は、美しい人でなければならないのだ。)

俯いた視界が滲み、手の中の布が小さく震えていることに、私は気づかれないよう必死に隠した。
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