皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
会議が終わり、セドは一言も発さずに大広間を後にした。

その背中があまりに重く、私は思わず後を追っていた。

「皇太子殿下。」

呼び止めると、彼はゆっくりと振り返る。

そこに浮かんだのは、寂しさを隠しきれない笑みだった。

「参るね。もう次のお姫様だって。」

軽く言ったつもりなのだろう。

けれどその声音には、深い疲労と諦めが滲んでいた。

胸の奥がズキリと痛む。――やはり、クラリッサ姫との婚約破棄の傷は癒えていないのだろうか。

「今回のお姫様も……美人だそうですよ。」

慰めるつもりで口にした言葉だった。

けれどセドは一瞬、きょとんとしたように私を見つめた。

まるでその言葉の意味が理解できない、とでもいうように。

「美人……だから何だというんだ。」

小さく吐き出すような声。

その瞳に映るのは虚しさだけで、私の心臓は大きく跳ねた。
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