皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「エリナ、恋は終わった?」

唐突に投げかけられたアルキメデスの言葉に、胸が詰まった。

喉の奥が固まり、声が出ない。

「言うまでもない。」

やっと絞り出した答えは、思った以上に弱々しかった。

アルキメデスは淡く笑い、「エリナは、皇太子殿下が初恋の人だったからね」と続ける。

その声音は優しかったが、どこか試すようでもあった。

そう、殿下は私の初恋の人。

今も変わらず憧れであり、尊敬の念を抱かずにはいられない存在だ。

その気持ちは消せない。

「でも、俺がいるから。」

アルキメデスの真っ直ぐな瞳が私を射抜いた。

胸がきゅっと痛む。けれど私は微笑んでかわすしかない。

「……言葉だけ、受け取っておく。」

その返事に、彼は苦笑し「なんだ、言葉だけか」と残念そうに肩をすくめた。

その表情が妙に切なく、私は視線を逸らすしかなかった。
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