皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「エリナ。今夜、君を所望する。」

その言葉に心臓が大きく跳ねた。

「殿下、な、何とおっしゃいました……?」

「今夜、君を俺のモノにする。」

静かに、しかし抗えないほどの力強さを帯びた声。全身が震え、息が詰まる。

それは――皇太子殿下からの、正式な夜伽の誘い。

「いえ……あの、私……」

必死に言葉を探すが、喉が震えて声にならない。

セドは一歩近づき、私を逃がさぬように視線を絡め取った。

「俺を好きなら……俺の気持ちにも答えるべきだ。」

真っ直ぐに向けられる瞳。

その中には、他の誰も映っていない。ただ、私だけ。

「いいね、エリナ。」

彼の声が耳朶を打つ。

「今夜、俺の寝室に来るんだ。」

有無を言わせぬ強さと、甘く熱い響き。

そう告げるとセドは私を見つめたまま踵を返し、去っていった。

残された私は震える指先を握りしめ、胸の奥に広がる熱に抗えず立ち尽くすしかなかった。
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