皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「皇太子殿下、そろそろお時間です。」

家臣の一人が声をかけると、セドは名残惜しそうにこちらを振り返った。

「エリナ、また誘う。」

その一言を残し、堂々とした背中を見せて去っていく。

私は呆然と立ち尽くした。胸の鼓動が速すぎて、息が整わない。

そんな私を、アルキメデスがじーっと見つめていた。

「よかったね、両想いで。」

「え、ええっ⁉」

思わず大きな声が出てしまう。

やっぱり……これって、両想いなの?

皇太子殿下が、本気で……私を好きだなんて。信じられない。

アルキメデスは腕を組み、わざとらしくため息をついた。

「どうすんの? 皇太子殿下は本気だよ。」

「本気……」

その言葉が頭の中で反響する。

殿下の真剣な眼差しを思い出し、胸が熱くなった。

「……あーあ。恋ってじれったいね。」

アルキメデスは苦笑混じりにそう呟く。

けれどその眼差しの奥に、かすかな寂しさが浮かんでいることに、私は気づかないふりをした。
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