皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「エリナを殿下付の侍女に推薦したのは、間違いではなかった。」

「公爵閣下……」

胸が熱くなった。叱責されると思っていたのに、怒るどころか認めてくださっている。

「エリナは、セドリック殿下が惚れてるんだね。」

その言葉に、思わずうん、と小さく頷いた。

顔は熱く、耳まで真っ赤になっているのが自分でも分かる。

公爵閣下は穏やかに微笑み、ゆっくりと言葉を続けた。

「その想いは、殿下をお支えするのに必要だよ。」

「……必要、ですか。」

驚きと戸惑いが入り混じった声が漏れる。

恋など許されないものだと思っていた。

それを「必要だ」と言ってくださるなんて。

「殿下の心を支えられるのは、愛情のある者だけだ。」

そう言って公爵閣下は私の肩を軽く叩いた。

その温もりに、不思議と力が湧いてくる。

――ああ、私はこの想いを抱いていていいのだ。殿下を支えるために。

胸の奥でそっと誓い直した。

どんな立場であろうとも、この恋心を力に変えて、殿下の隣に立ち続けようと。
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