皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
そして私はその時、はっきりと悟ったのだ。

セドは誰よりも勇敢で、友情に熱い人だと。

弱い私を庇い、胸を張って「友達だ」と言ってくれるその姿は、何よりも眩しく見えた。

(この人についていく。)

幼い心に、強い決意が芽生えた。

「セド。」

涙で濡れた顔のまま、震える声で名前を呼んだ。

「なんだ? エリナ。」

私たちはまだ10歳ほど。けれど私は、その年齢には似つかわしくない誓いを口にした。

「私、一生……セドについていく。」

一瞬きょとんとした後、セドはぱっと笑顔を咲かせた。

「よし! エリナはずっと俺のそばにおく!」

それがどんな意味を持つのかも分からず、ただ互いに無邪気に笑い合い、小さな拳を突き合わせた。

その子供じみた約束が、やがて私の心を支える一生の誓いとなり、今もなお、セドリック殿下を想う原点になっているのだ。
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