皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
そして、他の令嬢たちがスクールで音楽や舞踏、歴史や礼儀作法といった教養を磨いていた頃、私はひとり、男性に交じって馬術や剣術に励んでいた。

汗に濡れた髪を束ね、荒い息を吐きながら剣を握る。

そんな私の姿を見て、最初に声をかけてきたのがアルキメデスだった。

「エリナはどうして、男と同じことを学ぶの?」

問いかける声音には、どこか戸惑いが混じっていた。

彼にとって私は、当初、異端者に映ったらしい。

私は木剣を握りしめたまま、真っ直ぐに答えた。

「誰よりも殿下をお支えしたいから。」

その言葉に、アルキメデスの瞳がわずかに揺れた。

最初は呆れたような表情をしていた彼も、次第に真剣な眼差しに変わっていく。

私の決意は、幼い頃からの誓いに根ざしたものだった。

きっとその熱が伝わったのだろう。

いつしかアルキメデスも、共に稽古を積む仲間となり、私の努力を支えてくれる友人となったのだ。
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