皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました

最初は、男たちの中に交じって剣を振るい、馬を操る私を、アルキメデスは奇異の目で見ていた。

「必死すぎるだろ、エリナ。」

汗だくになって何度も木剣を振り続ける私を、彼は苦笑混じりに眺めていた。

けれど、私が剣を置くことは一度もなかった。

倒れても立ち上がり、手に血豆ができても諦めなかった。

「誰よりも殿下をお支えしたいから。」

その言葉通り、ただひたすらに努力を重ねた。

次第に、アルキメデスの視線は変わっていった。

最初は冷ややかだった目が、やがて真剣な光を帯びるようになったのだ。

「……すごいな、エリナ。俺でも投げ出したくなる稽古を、平然とやり抜くなんて。」

その声には、素直な敬意が滲んでいた。

彼は剣を収めると、真っ直ぐに私に向き直り、軽く笑みを浮かべた。

「殿下のそばに立つ資格があるのは、お前かもしれないな。」

その言葉が嬉しくて、胸が温かくなった。

アルキメデスはその時から、友人であり、私の努力を一番近くで認めてくれる存在になったのだ。