皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
「ああ、ダメだ……もう我慢できない。」

押し殺したような声でそう告げると、セドは熱に潤んだ瞳で私を見つめた。

「エリナ……受け取ってくれ。俺の愛を。」

その真剣な眼差しに、胸がぎゅっと締めつけられる。私は強く瞼を閉じ、震える声で応えた。

「……殿下の……愛……」

次の瞬間、全身を満たすような熱が私に注がれる。

「ああっ……!」

思わず声が洩れる。これは痛みではない、深い悦び。

「エリナッ!」

彼の名を呼ぶ声は切なく、激しく、魂を揺さぶる。

「ううっ……エリナ……君だけに注ぐよ。」

熱い証が注ぎ込まれるたび、心も体も溶けていくようだった。

――これは私の幸せの時。

初恋の人とひとつになり、愛を交わした瞬間、私はもう二度と後戻りできないと悟った。

この夜が永遠に続けばいいと、心から願った。
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