皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
それでも私は、セドの寝室を訪れることをやめられなかった。

「エリナ。今夜もだ。」

湯浴みの時に交わした、その一言が呪いのように胸に残り、抗えなくなっている。

気づけば私は毎晩のように彼のもとへ足を運び、そして同じ寝台で肌を重ねていた。

「ああ、エリナ……君が愛おしい。」

熱を帯びた囁きが耳に触れるたび、心が震え、体は自然と彼を受け入れてしまう。

その言葉なしでは、もはや眠れなくなっていた。

――あってはならない。分かっている。

私は侍女に過ぎず、彼は国の未来を担う皇太子。許されるはずのない関係だ。

けれど、セドに抱きしめられる度に、心は抗えない夢を見る。

もしもこのまま、彼の妃になれたなら。

もしも侍女ではなく、共に未来を歩める存在であったなら――。

夢だと分かっていながら、甘い幻想に縋る自分を止められなかった。
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