皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
そしてある日から、私は夜だけでなく執務室にも通うようになった。

扉を叩いて入ると、机に向かって書類に目を通しているセドの姿があった。

「お茶をお持ちしました。」

顔を上げたセドは、疲れをにじませながらも微笑んでくれる。

「ああ、いつもありがとう。」

午後のひととき。私は紅茶の香りを漂わせながら、慎重にカップへと注ぐ。

「今日はミルクティーにしました。」

そっと差し出すと、セドはカップを受け取り、香りを楽しむように目を細めた。

「毎日バリエーションが豊富だね。」

くすっと笑う声が心地よくて、胸が熱くなる。

彼が毎日、私の淹れた紅茶を楽しみにしてくれる――それだけで、侍女である私の心は満たされていった。
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