「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 


 お土産に甘い芋料理を持って善子がやってきた。
 芋の中身をくり抜き、甘くして詰め直した。

 今で言う、スイートポテトだ。

「あら、結局、博覧会に行くんですのね。
 羨ましいですわ」

 山内が外で待っているので、

「中に入られてはどうですか?」
と珠子は言ったが、

「いえ、私はここで」
と山内は言う。

「いつ何処から、お嬢様を狙う刺客が現れるかわかりませんから」
と言う彼に、

 ――いつっ?
 何処からっ?
と珠子の方が怯えて、きょろきょろしてしまう。

 


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