「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 



 山内は、外に立って、女性二人が楽しげに話しているのを眺めていた。

 遠くから見ているだけでも、華やかで良い、と思う。

 優しい珠子は中に入れと言ってくれるが、

「いつ何処からお嬢様を狙う刺客が現れるかわかりませんから」
と答える。

 珠子は、ええっ? という顔をしていた。

 実際、善子に何事かあったら、主人に殺されかねないので、常にそのくらいの気構えでいるようにしている。

 だが、前回の珠子のせいで、山内の妄想の中では、刺客はキュウリ瓶を持って、善子に襲いかかっていた。

 しかも、珠子がすごい早業で倒してしまうのだ。

 ……なんとなくなんだけど、この人、実は強そうなんだよな。

 隙がないというか。

 いい家の娘だったらしいし。

 護身術代わりに武道とかやってそう、と思う。
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