「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 東京がまだ江戸だった頃、ロンドンで世界初の万国博覧会が開かれた。

 その会場となったのが水晶宮(クリスタル・パレス)だ。

 ガラスの宮殿のような水晶宮入ると、八メートルもある、これまたガラスでできた水晶噴水があったという。

 珠子は、その話を聞き、胸をときめかせていた子ども時代を思い出していた。

「さすがに水晶宮はないが、大噴水は五色の照明で光っているらしいぞ」

「それは素敵ですねっ」

 列車が来て、二人は乗り込む。

 鞄は晃太郎が持ってくれていた。

 二人の前に座ったのは品の良い洋装のご老人だった。

 ステッキを手にした彼は言う。

「ご旅行ですか?」

「はい。
 新婚旅行で」

 打ち合わせしていたので、晃太郎は、さらっとそう答えた。
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