「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 


春日丸には、一等から三等までの切符があり、一等の部屋は二人、二等は六人。三等だと、二百五十五人もの大部屋になっていた。

 だが、二段ベッドがひしめく三等室もみな和気藹々(わきあいあい)として楽しそうだった。

 まあ、出航したばかりで、誰も船酔いしていないからかもしれないが。

「門司まで船旅を楽しむといいよ」

 門司には船の燃料である石炭を積むために寄るのだと言う。

 次郎に手を引かれ、階段を下りる。

 一等食堂に下りる階段は絨毯も手すりも意匠が凝らしてあって豪華だ。

 女性は盛装、男性はモーニングやフロックコートなどを着なければならないと決まっているので、食堂の中は着飾った人々でいっぱいだった。

 着物姿の女性も多く見られる。

 お茶にしようと次郎は言っていたが、結局、食事をとることになった。

 西洋料理の並ぶ献立書から注文する。
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