「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
その頃、晃太郎は池田家でウロウロ歩き回っていた。
「ほんとうに申し訳ない」
と池田が謝ってくれるが、もちろん、池田のせいではない。
むしろよく教えてくれたと思っている。
高平が、
「でもまあ、豪華汽船に乗ってるんだろ?
いざとなれば、周りに助けを求められるだろうし。
危険はないんじゃないか?」
と言ったが、池田は、
「……物理的には大丈夫かもしれないけど」
と意味深なことを言う。
「最初に寄港する門司港までの間に、二人に愛が芽生えるかもしれないじゃないかっ」
「……そんな簡単に芽生えるのか? 愛。
お前たちと珠子の間にもなかなか芽生えなかったのに」
そう言う高平に、
「だって次郎さんだよっ」
と池田はソファから立ち上がる。