「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」


 晃太郎と高平は珠子のいない古書店に来ていた。

 今にも、珠子が戸を開けて、ひょいと顔を覗けてきそうなのに――。

 そう晃太郎が思ったとき、微かにベルの音が聞こえた。

「……幻聴?」
と晃太郎が呟く。

「いいや、俺にも聞こえるっ」

 電話のベルだっ、と叫んだ高平に、

「この家の鍵はっ?」
と晃太郎は訊いたが、もちろん、持っていないと言う。

「裏口に回って、戸を突き破れっ」

 二人で、打ち壊しのように体当たりし、戸を打ち破っていると、近所の人たちがやってきた。

「また強盗っ!?
 あれっ? 晃太郎さんじゃん」
とその中にいた小太郎が言う。
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