「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「小太郎っ、電話が切れる前に、打ち壊してくれっ」

 よしきたっ、と小太郎の仲間たちも体当たりする。

 だが、みんなが雪崩れ込んだとき、僅かな差で電話は切れてしまった。

「あー、くそっ。
 逃げ出した珠子だったかもしれないのにっ」
と高平が言う。

「いや、珠子だったら、お前の家にかけるだろう?」

 電話番号知ってるんだから、と晃太郎は言いながらも。

 今の電話が珠子を助け出す助けになりそうな予感がなんとなくしていた。

 高平に事情を聞いた小太郎が笑って言う。

「確かに、珠子さんだったら、海に飛び込んで逃げるとか。
 小舟を奪って逃げるとかやりそうだね」

 すぐに受話器を上げた晃太郎に、高平が、
「おい、またかかってくるかもしれないだろ」
と言ったのだが――。




 
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