「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
石炭の積み込みのため、豪華汽船は門司港に碇泊した。
その途端、現地の商人が乗り込んできて、甲板で竹細工や小さなお面や鏡などを乗客たちに売り始める。
「賑やかですね~」
と珠子は微笑み、それを眺めた。
船の中で友だちになった異国のご婦人方からいただいたドレスとハット。
最新流行のそれらを珠子は身につけていた。
持ってきすぎて持って帰るのが面倒臭くなったのだそうだ。
「今度、また、東京にいらしたら、うちの店にもお寄りください。
日本の本をプレゼントしたいので」
珠子は見送ってくれる彼女らにそう挨拶し、笑顔で船を降りる。
ご婦人方は降りていく異国の友人の姿をいつまでも見送ってくれた。