「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「晃太郎くんが迎えに来たいが間に合わないというので、私が来たんだよ」

 珠子、心配かけたね、と父は言う。

「……お父様」

「お前を呼び寄せたいところだが。
 お前に電話を何度かかけた間にも、事業に成功したり、失敗したりしてたものだから」

 ……あの短期間にですか?

 さすがは山師と呼ばれるお父様。

 それで電話がかかったりかからなかったりしてたのか、と珠子は思う。

 成功したときにかけてきて。

 すぐに失敗して、またかけてこなくなったのだろう。

「私も、今、この瞬間は成功しているが、明日はまたわからない。
 だが、面白い時代だと思わんかね。

 どんな人間でも、知恵と工夫で成り上がれるんだ!」

「さすがは珠子さんのお父様っ。
 商売人として、胸に響くものがありますっ」

 何故か次郎は父に感銘を受けていた。
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